動悸は、心臓の病気(不整脈や心不全など)が原因で起こることが多いですが、実は心臓以外の全身的な病気や、精神的な要因、あるいは生活習慣が原因で動悸を感じることも少なくありません。どのようなものが考えられるのでしょうか。まず、内分泌系の疾患として、「甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)」があります。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身の代謝が活発になり、心臓も過剰に刺激されて頻脈(脈が速くなる)や動悸、手の震え、体重減少、多汗、眼球突出といった症状が現れます。血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることで診断がつきます。次に、「貧血」です。血液中の赤血球やヘモグロビンが減少すると、全身に酸素を運ぶ能力が低下するため、それを補おうとして心臓が過剰に働き、動悸や息切れ、めまい、倦怠感などが生じます。特に女性は月経によって鉄欠乏性貧血になりやすいため注意が必要です。また、「低血糖」も動悸の原因となることがあります。糖尿病の治療薬(インスリンや一部の経口血糖降下薬など)の副作用や、食事量の不足などによって血糖値が下がりすぎると、交感神経が刺激され、冷や汗、手の震え、動悸、不安感といった症状が現れます。「発熱」時も、体温が上昇すると心拍数が増加するため、動悸を感じやすくなります。脱水状態も、血液量が減少し、心臓に負担がかかるため、動悸を引き起こすことがあります。さらに、「薬剤の副作用」として動悸が現れることもあります。気管支拡張薬や一部の降圧薬、あるいは市販の風邪薬や咳止めに含まれる成分(エフェドリンなど)が、心臓を刺激して動悸を起こすことがあります。そして、精神的な要因も無視できません。「パニック障害」や「不安障害」、「過換気症候群」などでは、強い不安感や恐怖感とともに、激しい動悸や息苦しさ、めまい、手足のしびれといった発作的な症状が現れることがあります。ストレスや疲労、睡眠不足なども、自律神経のバランスを乱し、動悸を感じやすくする要因となります。このように、動悸の原因は多岐にわたるため、症状が続く場合は、内科や循環器内科、場合によっては心療内科や精神科などを受診し、原因を特定してもらうことが大切です。
心臓以外の病気も?動悸を引き起こす可能性