動悸の症状で医療機関を受診した場合、どのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に循環器内科や内科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから動悸を感じるようになったか、どのような動悸か(ドキドキ、バクバク、ドクンと脈が飛ぶ感じなど)、動悸の持続時間や頻度、動悸が起こるきっかけ(運動時、安静時、ストレス時など)、動悸以外の症状(胸痛、息切れ、めまい、失神、発熱、体重減少、手の震えなど)の有無、既往歴(特に心臓病、甲状腺疾患、糖尿病、高血圧など)、家族歴、服用中の薬(市販薬やサプリメントも含む)、生活習慣(喫煙、飲酒、カフェイン摂取、睡眠時間、ストレス状況など)を詳しく聞かれます。この問診は、動悸の原因を推測する上で非常に重要な情報となります。次に、身体診察です。医師は、聴診器で心臓の音や呼吸音を聞いたり、脈拍を触れてその速さやリズム、強さを確認したり、血圧を測定したりします。また、甲状腺の腫れや、足のむくみなど、他の身体所見もチェックします。これらの問診と診察から、ある程度の診断の方向性がつけられますが、動悸の原因を特定するためには、いくつかの検査が行われるのが一般的です。最も基本となるのが、「心電図検査(ECGまたはEKG)」です。安静時の心臓の電気的な活動を記録し、不整脈の有無や種類、心筋虚血(心筋梗塞や狭心症)の兆候などを調べます。ただし、動悸が起こっていない時の心電図では異常が見つからないことも多いため、必要に応じて、24時間心電図を記録する「ホルター心電図検査」や、運動中に心電図をとる「運動負荷心電図検査」が行われることもあります。血液検査も重要な検査の一つです。貧血の有無、甲状腺ホルモンの値、電解質(カリウムやマグネシウムなど)の異常、心筋マーカー(心筋梗塞の際に上昇する酵素など)、BNP(心不全の際に上昇するホルモン)などを調べることで、動悸の原因となる全身的な疾患の手がかりを得ることができます。さらに詳しく心臓の状態を評価するためには、「心エコー検査(心臓超音波検査)」が行われます。心臓の動きや大きさ、弁の状態、血液の流れなどをリアルタイムで観察することができます。