「甘いものをたくさん食べているのに、あの人はどうして糖尿病にならないのだろう?」そんな疑問を抱いたことはありませんか。確かに、甘いものの過剰摂取は糖尿病のリスクを高める一因とされていますが、必ずしも「甘いもの好き=糖尿病になる」というわけではありません。では、甘いものを食べても糖尿病になりにくい人には、どのような特徴や理由があるのでしょうか。まず、最も大きな要因の一つが、遺伝的な体質です。糖尿病、特に2型糖尿病の発症には、遺伝的な素因が深く関わっていることが知られています。親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる場合、そうでない人に比べて糖尿病になりやすい傾向があります。逆に、糖尿病になりにくい遺伝的背景を持つ人は、ある程度甘いものを摂取しても、血糖値をコントロールする能力が比較的高い可能性があります。次に、インスリンの分泌能力や感受性(インスリンの効きやすさ)の違いです。インスリンは、膵臓から分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて血糖値を下げる働きをするホルモンです。このインスリンを十分に分泌できる能力が高い人や、インスリンが効率よく働く体質(インスリン感受性が高い)の人は、食後の血糖値の上昇をスムーズに抑えることができるため、糖尿病になりにくいと考えられます。また、筋肉量も関係しています。筋肉は、血液中のブドウ糖を最も多く消費する組織の一つです。そのため、筋肉量が多い人は、摂取した糖質をエネルギーとして効率よく利用でき、血糖値が上がりにくい傾向があります。日頃から適度な運動習慣があり、筋肉量を維持している人は、甘いものを食べてもその影響を受けにくい可能性があります。さらに、食生活全体のバランスも重要です。たとえ甘いものが好きでも、他の食事で野菜や食物繊維を十分に摂取していたり、総摂取カロリーを適切にコントロールしていたりすれば、血糖値の急激な上昇を抑え、糖尿病のリスクを低減できるかもしれません。これらの要因が複合的に絡み合い、甘いものを食べても糖尿病になりにくい体質が形成されていると考えられます。