食中毒の嵐のような症状(嘔吐、下痢、腹痛)がようやく治まった後も、「なんだかお腹の調子がすっきりしない」「胃がもたれる感じが続く」といった、後遺症のような不調に悩まされることがあります。多くの場合、これらの症状は、食中毒によってダメージを受けた胃腸の粘膜や、乱れてしまった腸内フローラ(腸内細菌のバランス)が、回復する過程で起こる一時的なものです。通常は、消化の良い食事を心がけ、安静にしていれば、数週間から一ヶ月程度で自然に改善していきます。しかし、もし不調が一ヶ月以上も長引く、あるいは、便秘と下痢を繰り返す、お腹にガスが溜まって張る、といった新たな症状が現れてきた場合は、別の病気が隠れている可能性も考えられます。このような場合に相談すべき診療科は、「消化器内科」または「胃腸内科」です。消化器内科医は、食中毒後の不調の専門家です。まず、症状が本当に食中毒の回復過程によるものなのか、あるいは別の原因によるものなのかを、詳しく診察してくれます。考えられる可能性の一つが、「感染後過敏性腸症候群(IBS)」です。これは、カンピロバクターなどの細菌性腸炎にかかった後、腸の知覚が過敏になり、わずかな刺激でも腹痛や下痢、便秘といった症状が慢性的に続いてしまう状態です。また、食中毒によって腸内細菌のバランスが大きく崩れ、回復が遅れている可能性もあります。消化器内科では、必要に応じて、整腸剤の種類を変えたり、IBSの治療薬を処方したり、あるいは食事指導を行ったりして、症状の改善を図ります。稀ではありますが、食中毒をきっかけに、もともと持っていた炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)が顕在化することもあります。症状が長引く場合には、大腸内視鏡検査などで、腸の状態を詳しく調べることもあります。食中毒後の不調は、多くは時間の経過と共に解決します。しかし、「たかが食中毒の後遺症」と自己判断で放置せず、症状が長引く場合は、一度、消化器の専門医に相談すること。それが、長引く不快感から解放され、本当の安心を手に入れるための、最も確実な方法と言えるでしょう。
食中毒の後も不調が続く…そんな時は何科に相談?