冬場を中心に流行するインフルエンザ。高熱や喉の痛み、咳、鼻水といった呼吸器症状が代表的ですが、実は、発熱とともに太ももなどの筋肉痛や関節痛が現れることも少なくありません。なぜインフルエンザで太ももが痛くなるのでしょうか。その関連性について理解しておきましょう。インフルエンザウイルスに感染すると、体内でウイルスが増殖し、それに対抗するために免疫システムが活発に働き始めます。この免疫反応の過程で、サイトカインという様々な生理活性物質が体内で産生されます。サイトカインは、ウイルスと戦う上で重要な役割を果たしますが、同時に、発熱や倦怠感、そして筋肉痛や関節痛といった全身症状を引き起こす原因ともなります。つまり、インフルエンザによる太ももの痛みは、ウイルスが直接太ももの筋肉を攻撃しているわけではなく、主にウイルス感染に対する体の免疫反応の結果として生じる「炎症性の痛み」であると考えられています。特に、太もものような大きな筋肉は、炎症の影響を受けやすく、ズキズキとした痛みや、重だるい筋肉痛として感じられることがあります。また、高熱が出ると、体全体の代謝が亢進し、筋肉のタンパク質が分解されやすくなったり、乳酸などの疲労物質が蓄積しやすくなったりすることも、筋肉痛を助長する要因となる可能性があります。インフルエンザによる太ももの痛みは、通常、発熱などの他の症状とともに現れ、熱が下がるとともに徐々に軽快していくことが多いです。対処法としては、安静にして体を休めることが第一です。解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬など)を服用することで、発熱とともに筋肉痛も和らぐことがあります。ただし、自己判断で市販薬を使用する際は、薬剤師に相談するか、医師の指示に従いましょう。もし、太ももの痛みが非常に強い、片足だけが異常に腫れている、歩行が困難といった場合は、インフルエンザ以外の原因(例えば、細菌感染による筋炎や、深部静脈血栓症など)も考えられるため、医療機関を受診することが大切です。
インフルエンザ?発熱と太もも痛の関連性