突発性発疹は、乳幼児期に多くの子供が経験する病気であり、完全に予防することは難しいとされています。なぜなら、原因となるヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)や7型(HHV-7)は非常にありふれたウイルスで、症状が出ない不顕性感染の形で大人や年長児が保有していることも多く、知らないうちに赤ちゃんがウイルスに接触する機会があるからです。しかし、感染のリスクを少しでも減らすために、日頃から心がけられる予防策はいくつかあります。まず基本となるのは、一般的な感染症対策と同様に、手洗いの励行です。特に、オムツ交換の後や、鼻水を拭いた後、食事の準備や授乳の前などには、石鹸を使って丁寧に手を洗うことが重要です。ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ることで感染する接触感染を防ぐ効果が期待できます。また、咳やくしゃみをする際には、ティッシュやハンカチ、あるいは袖で口や鼻を覆う「咳エチケット」を家族全員で守ることも、飛沫感染のリスクを減らすのに役立ちます。乳幼児が口にする可能性のあるおもちゃや食器などは、こまめに洗浄したり、消毒したりすることも有効です。特に、複数の子供たちが遊ぶような環境では、定期的な清掃と消毒が推奨されます。加えて、赤ちゃんの免疫力を高めることも間接的な予防につながります。バランスの取れた栄養、十分な睡眠、適度な外気浴などを心がけ、健康な体づくりをサポートしましょう。ただし、前述の通り、突発性発疹のウイルスは非常に感染力が強く、日常生活の中で完全に接触を避けることは困難です。多くの場合は軽症で済み、一度かかると終生免疫が得られるとされる病気ですので、過度に神経質になる必要はありません。できる範囲での予防策を講じつつ、もし発症した場合には、慌てず適切に対応することが大切です。