「特に心臓が悪いわけではないはずなのに、なぜかドキドキする」「緊張する場面やストレスを感じると、急に心臓がバクバクする」…。このような動悸は、精神的なストレスや不安感が原因で起こる「心因性動悸」の可能性があります。心因性動悸は、決して気のせいではなく、実際に心臓の拍動を強く感じたり、脈が速くなったりする不快な症状です。このような場合、心療内科や精神科が適切な相談先となります。ストレスや不安がどのようにして動悸を引き起こすのでしょうか。強いストレスや慢性的な不安状態は、自律神経のバランスを乱しやすくなります。自律神経は、心臓の拍動や呼吸、血圧などをコントロールしていますが、そのバランスが崩れると、交感神経が過剰に働き、心拍数を増加させたり、心臓の収縮力を強めたりして、動悸として感じられるのです。また、不安感が強いと、自分の心臓の動きに過敏になり、些細な拍動の変化でも「何か悪いことが起きるのではないか」とさらに不安が増幅し、動悸が悪化するという悪循環に陥りやすい傾向があります。「パニック障害」は、心因性動悸の代表的な原因の一つです。何の前触れもなく、突然、激しい動悸や息苦しさ、めまい、手足のしびれ、強い恐怖感といったパニック発作が起こります。「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安から、外出を避けたり、日常生活に支障が出たりすることもあります。「全般性不安障害」や「社交不安障害」といった他の不安障害でも、慢性的な不安感や緊張感から動悸を感じやすくなることがあります。また、「過換気症候群」も、強い不安や緊張が引き金となって呼吸が速く浅くなり、血液中の二酸化炭素濃度が低下することで、動悸や息苦しさ、めまい、手足のしびれといった症状が現れます。心療内科や精神科では、まず詳しい問診を通じて、患者さんの精神状態やストレス状況、生活環境などを把握します。そして、必要に応じて心理検査などを行い、診断を下します。治療としては、精神療法(カウンセリングや認知行動療法など)や、薬物療法(抗不安薬や抗うつ薬、β遮断薬など)、リラクセーション法(深呼吸や瞑想など)などが組み合わせて行われます。心因性の動悸に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、専門医に相談してみることをお勧めします。