動悸の症状が現れた時、循環器内科と一般的な内科、どちらを受診すれば良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、自分の症状や状況に合わせて選ぶことが大切です。まず、循環器内科は、心臓や血管(動脈、静脈)の病気を専門とする診療科です。動悸の原因として最も多いのは、不整脈(脈の乱れ)や、心臓の機能低下(心不全)、あるいは心臓の構造的な異常(心臓弁膜症や心筋症など)です。循環器内科では、これらの心臓疾患を診断・治療するために、心電図検査(安静時、運動負荷時、24時間ホルター心電図など)、心エコー検査(心臓超音波検査)、血液検査(心筋マーカーやBNPなど)、場合によっては心臓カテーテル検査といった専門的な検査を行います。そして、原因に応じた薬物療法や、カテーテルアブレーション治療、ペースメーカー植え込み術といった高度な治療を提供します。動悸が頻繁に起こる、脈が飛ぶ感じがする、胸の不快感や息切れを伴う、あるいは過去に心臓病を指摘されたことがあるといった場合は、循環器内科の受診が推奨されます。一方、内科は、体の内部の病気全般を幅広く診療する科です。動悸の原因が、必ずしも心臓にあるとは限りません。例えば、貧血や甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、脱水、発熱、低血糖、あるいは服用している薬の副作用などが動悸を引き起こすこともあります。内科医は、これらの全身的な要因を考慮し、血液検査や尿検査などを行い、原因を特定しようとします。また、ストレスや不安といった精神的な要因が動悸に関与している場合(心因性動悸)にも、初期的な対応や、必要に応じて心療内科への紹介を行ってくれます。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、症状の状況を考えてみましょう。明らかに心臓に原因があると思われる症状(胸痛や強い息切れを伴うなど)や、頻繁な動悸、あるいは心臓病のリスクが高い方(高齢者、高血圧、糖尿病、脂質異常症など)は、循環器内科。動悸以外の全身症状(発熱、体重減少、手の震えなど)が気になる場合や、まずはかかりつけ医に相談したい場合は内科、という大まかな目安があります。
循環器内科?内科?動悸の受診先の選び方