健康診断の尿検査で「血尿」や「タンパク尿」を指摘されたり、あるいは自分で尿の色がおかしい(赤い、茶色いなど)と感じたり、尿が異常に泡立つことに気づいたりした場合、それは腎臓や尿路系の病気のサインである可能性があります。放置せずに、適切な診療科を受診し、原因を調べることが重要です。まず、「血尿」とは、尿の中に赤血球が混じっている状態です。肉眼でも尿が赤く見える「肉眼的血尿」と、見た目には分からず検査で初めて指摘される「顕微鏡的血尿」があります。血尿の原因としては、腎臓の糸球体という部分に炎症が起こる「糸球体腎炎(急性・慢性)」や、遺伝性の腎疾患である「多発性嚢胞腎」、あるいは「IgA腎症」といった腎臓自体の病気が考えられます。また、尿の通り道(尿管、膀胱、尿道)に結石ができる「尿路結石症」や、膀胱炎、腎盂腎炎といった「尿路感染症」、そして稀ではありますが、「腎臓がん」や「膀胱がん」といった悪性腫瘍も血尿の原因となります。次に、「タンパク尿」とは、尿の中にタンパク質(主にアルブミン)が漏れ出ている状態です。健康な人でも、激しい運動後や発熱時などに一時的にタンパク尿が出ることがありますが、持続的にタンパク尿が見られる場合は、腎臓のろ過機能に異常が生じている可能性があります。代表的な原因疾患としては、やはり「糸球体腎炎」や「ネフローゼ症候群」、「糖尿病性腎症」、「高血圧性腎硬化症」といった慢性腎臓病(CKD)が挙げられます。これらの病気では、糸球体がダメージを受け、本来なら尿中に出てこないはずのタンパク質が漏れ出てしまうのです。血尿やタンパク尿を指摘された場合に受診すべき診療科としては、まず腎臓内科が専門となります。腎臓内科医は、これらの尿所見の原因を特定するために、詳細な血液検査や尿検査、画像検査(超音波、CT、MRIなど)、そして必要に応じて腎生検(腎臓の組織を採取して調べる検査)などを行い、診断と治療方針を決定します。ただし、尿路結石や尿路感染症、あるいは悪性腫瘍などが疑われる場合は、泌尿器科との連携が必要になることもあります。