喘息の治療において、吸入薬は非常に重要な役割を果たします。薬剤を直接気道に届けることができるため、少ない量で効果的に作用し、全身への副作用も比較的少ないというメリットがあります。しかし、吸入薬はその種類が多く、また、正しく吸入できていないと十分な効果が得られないため、正しい使い方をマスターし、注意点を守ることが大切です。吸入薬には、主に「定量噴霧式吸入器(pMDI)」と「ドライパウダー吸入器(DPI)」の二つのタイプがあります。定量噴霧式吸入器(pMDI)は、薬剤がガスとともに噴霧されるタイプで、噴霧と吸入のタイミングを合わせる必要があります。吸入補助具(スペーサー)を使用すると、薬剤の吸入効率が高まり、タイミングを合わせるのが難しい子どもや高齢者でも確実に吸入しやすくなります。使用前にはよく振り、息を十分に吐き出した後、吸入口をしっかり口にくわえ、噴霧と同時にゆっくりと深く息を吸い込み、数秒間息を止めます。ドライパウダー吸入器(DPI)は、薬剤が粉末状になっており、患者さん自身の吸い込む力で薬剤を吸入するタイプです。様々な形状の器具があり、それぞれ操作方法が異なります。薬剤をセットした後、息を十分に吐き出し、吸入口をくわえ、速く深く、力強く息を吸い込みます。吸入後は、息を数秒間止めます。いずれのタイプの吸入薬でも、共通の注意点があります。まず、吸入後は必ずうがいをすることです。特に吸入ステロイド薬の場合、うがいを怠ると、口の中に薬剤が残り、声がれや口腔カンジダ症(口の中にカビが生える)といった副作用が起こりやすくなります。うがいが難しい場合は、水を飲むだけでも効果があります。また、医師から指示された用法・用量を必ず守りましょう。長期管理薬(コントローラー)は、症状がない時でも毎日規則正しく使用することが重要です。発作治療薬(リリーバー)は、発作時のみに使用し、頻繁に使用するようになった場合は、喘息のコントロールが悪化しているサインですので、速やかに医師に相談してください。吸入器の残量も定期的に確認し、予備を準備しておくことも大切です。正しい吸入方法については、医師や薬剤師から丁寧に指導を受け、実際に練習してみることが、効果的な治療への第一歩となります。
喘息の吸入薬正しい使い方と注意点