爪の周りが腫れて痛む爪周囲炎。いざ医療機関を受診しようと思った時、皮膚科と整形外科、どちらが良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と、症状に応じた受진先の選び方について解説します。まず、皮膚科は、皮膚およびその付属器(爪、毛髪など)の疾患を専門とする診療科です。爪周囲炎は、爪の周りの皮膚に炎症が起こる病気であるため、皮膚科が診断と治療において中心的な役割を果たします。皮膚科では、患部の状態を詳しく観察し、細菌感染なのか、真菌(カビ)感染なのか、あるいは他の皮膚疾患(例えば、ヘルペス性ひょう疽や乾癬など)との鑑別を行います。必要に応じて、膿や皮膚の一部を採取して検査(細菌培養検査や真菌検査など)を行うこともあります。治療としては、原因に応じた薬剤(抗菌薬、抗真菌薬、ステロイド外用薬など)の処方や、排膿処置、そして爪のケアに関する指導などを行います。一方、整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経といった運動器系の疾患や外傷を専門とする診療科です。爪周囲炎が、爪の変形(巻き爪や陥入爪など)が主な原因となっている場合や、炎症が骨や関節、腱といった深部組織にまで波及している可能性がある場合、あるいは指の機能に影響が出ているような重症例では、整形外科での専門的な診断と治療が適しています。整形外科では、レントゲン検査などで骨の状態を確認したり、爪の変形に対する処置(爪の部分切除やワイヤー矯正など)、あるいは感染が深部に及んでいる場合の手術的な治療(デブリードマンや掻爬など)を行うことがあります。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、症状の主な場所と原因を考えてみましょう。爪の周りの皮膚の赤みや腫れ、膿といった皮膚症状が中心であれば皮膚科。爪の形が明らかに食い込んでいたり、指の動きに問題があったり、あるいは以前に整形外科で爪のトラブルを診てもらったことがある場合は整形外科、という大まかな目安があります。また、両方の科が連携して治療にあたることもあります。かかりつけ医に相談して紹介してもらうのも良いでしょう。