腕や足が重くだるい、指輪や靴がきつくなった、皮膚が硬く厚くなってきた…。このような症状に心当たりがあるなら、それは「リンパ浮腫」かもしれません。リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞り、腕や足などの皮下組織にリンパ液が過剰に溜まってしまう状態で、放置すると進行し、生活の質(QOL)を著しく低下させる可能性があります。では、このリンパ浮腫が疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。リンパ浮腫の診療は、まだ専門とする医師や医療機関が限られているのが現状ですが、最初に相談すべき診療科としては、まず、リンパ浮腫の原因となった病気(例えば、がん治療など)の主治医が挙げられます。乳がんや子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節を切除(郭清)したり、放射線治療を受けたりした後に発症することが多いため、まずはその治療を担当した外科医や婦人科医、泌尿器科医、放射線治療医に相談し、リンパ浮腫の可能性について評価してもらい、必要であれば専門の医療機関を紹介してもらうのがスムーズです。また、血管外科もリンパ浮腫の診療に関わることがあります。血管外科は、動脈、静脈、リンパ管といった脈管系の病気を専門としており、リンパ浮腫の診断や、他の血管疾患(例えば、深部静脈血栓症など)との鑑別、そして圧迫療法などの保存的治療の指導を行うことがあります。形成外科も、リンパ浮腫の治療、特に外科的治療(リンパ管静脈吻合術やリンパ節移植術など)を専門的に行っている場合があります。皮膚科は、リンパ浮腫に伴う皮膚の合併症(例えば、蜂窩織炎や皮膚の乾燥、硬化など)の治療やスキンケア指導で関わることがあります。最近では、「リンパ浮腫外来」や「リンパケア外来」といった専門外来を設けている医療機関も増えてきています。これらの専門外来では、医師だけでなく、リンパ浮腫療法士(LDT)などの専門資格を持つ医療スタッフがチームとなって、複合的治療(圧迫療法、リンパドレナージ、スキンケア、運動療法など)を提供しています。どの科を受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、がん診療連携拠点病院などの相談窓口で情報収集をしてみるのが良いでしょう。
リンパ浮腫かも?最初に相談すべき診療科とは