ものもらい(麦粒腫や霰粒腫)は、多くの場合、数日から数週間で自然に軽快したり、適切な治療によって治癒したりしますが、中にはなかなか治らなかったり、悪化したりするケースもあります。どのような場合に眼科を受診すべきか、そのタイミングを見極めることが大切です。まず、症状が強い場合です。痛みが非常に強い、まぶたがパンパンに腫れて目が開けにくい、赤みが広範囲に及んでいる、あるいは膿がたくさん出ているといった場合は、炎症が強いか、感染が広がっている可能性があるため、早めに眼科を受診しましょう。次に、症状が長引く場合です。市販の目薬を使用したり、自然治癒を期待したりして様子を見ていても、数日(例えば3~4日程度)経っても症状が全く改善しない、あるいはむしろ悪化しているようであれば、専門医の診察が必要です。特に、霰粒腫のようなしこりが、数週間から数ヶ月経っても小さくならない、あるいは徐々に大きくなっている場合も、眼科で相談しましょう。また、視力に影響が出ている場合も注意が必要です。ものがかすんで見える、視力が低下したように感じる、あるいは視野が狭くなったように感じるといった場合は、ものもらい以外の目の病気が隠れている可能性も考えられるため、必ず眼科を受診してください。そして、ものもらいを繰り返す場合も、一度眼科で相談することをお勧めします。体質的にできやすいということもありますが、背景にドライアイやマイボーム腺機能不全、あるいは糖尿病などの全身疾患が関わっている可能性も否定できません。原因を特定し、適切な予防策を講じることが大切です。さらに、まぶたのしこりが、一般的なものもらいとは少し様子が違うと感じる場合、例えば、しこりが非常に硬い、表面が凸凹している、出血しやすい、まつ毛が抜けるといった場合は、稀ではありますが、悪性腫瘍(がん)の可能性も考慮し、精密な検査を受ける必要があります。自己判断で放置せず、気になる症状があれば、早めに眼科医の診察を受けるようにしましょう。適切な診断と治療が、早期回復と合併症の予防に繋がります。