慢性腎臓病(CKD)が進行し、残念ながら腎機能が正常の15%以下にまで低下してしまうと、自分の腎臓だけでは体内の老廃物や余分な水分を十分に排泄できなくなり、生命を維持することが困難になります。この状態を「末期腎不全」と呼び、失われた腎臓の機能を代替するための「腎代替療法」が必要となります。その代表的な治療法が「人工透析」です。透析治療を導入し、継続的に管理していく上で、中心的な役割を担うのが「腎臓内科」の医師やスタッフです。透析治療は、一度始めると、基本的には生涯にわたって続けていく必要がある、生活の一部となる治療です。そのため、患者さんは腎臓内科医や、透析室の看護師、臨床工学技士といった医療チームと、非常に長い付き合いをすることになります。腎臓内科医の役割は、単に透析を行うだけではありません。まず、透析導入のタイミングを適切に見極めることが重要です。患者さんの腎機能の状態や全身の症状、生活状況などを総合的に判断し、最も良い時期に、安全に透析を開始できるよう計画を立てます。また、透析療法には、週に2〜3回通院して行う「血液透析(HD)」と、自宅でお腹に透析液を入れて行う「腹膜透析(PD)」の二種類があり、患者さんのライフスタイルや医学的な適応を考慮して、最適な治療法を選択する手助けをします。透析が始まってからも、腎臓内科医の管理は続きます。定期的な血液検査で、毒素の除去が十分に行われているか、貧血やミネラルのバランスは適切かなどをチェックし、透析の条件を微調整します。また、透析患者さんは、食事制限(水分、塩分、カリウム、リンなど)や、合併症(心血管疾患、骨の病気など)の管理も非常に重要になります。腎臓内- 科医は、管理栄養士や他の専門医と連携しながら、これらの自己管理がうまくいくように、継続的にサポートと指導を行います。透析治療は、患者さんにとって肉体的にも精神的にも大きな負担となりますが、信頼できる腎臓内科の医療チームは、その長い道のりを共に歩む、最も頼りになるパートナーとなるのです。
透析治療が必要になったら。腎臓内科との長い付き合い