リンパ浮腫は、早期に発見し、適切なケアを開始することが、症状の進行を抑え、QOL(生活の質)を維持するために非常に重要です。どのような症状がリンパ浮腫のサインとなるのか、そして放置するとどのように進行していくのかを理解しておきましょう。リンパ浮腫の初期の症状は、比較的軽微で気づきにくいこともあります。まず、「腕や足が何となく重くだるい」「疲れやすい」「むくんでいる感じがする」といった自覚症状が現れることが多いです。指輪や時計、靴がきつくなったり、左右の腕や足の太さにわずかな差が出たりすることもあります。この段階では、むくみは夕方になると強くなり、一晩寝ると軽減する「一過性のむくみ」であることが多いです。指で押すと跡が残る「圧痕性浮腫(あっこうせいふしゅ)」が見られます。しかし、この初期の段階で適切な対処をせずに放置しておくと、リンパ浮腫は徐々に進行していきます。むくみは持続的になり、朝になっても完全に引かなくなります。皮膚を押しても跡が残りにくくなり、皮膚が硬く厚くなってくる(線維化)のが特徴です。この状態を「非圧痕性浮腫」と呼びます。さらに進行すると、皮膚が乾燥しやすくなったり、ガサガサしたり、色素沈着(黒ずみ)や湿疹、水ぶくれ(リンパ漏)などが現れたりすることもあります。また、患部の免疫力が低下するため、細菌感染(蜂窩織炎など)を起こしやすくなり、感染を繰り返すことでリンパ浮腫がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあります。蜂窩織炎を起こすと、患部が急に赤く腫れ上がり、熱感や強い痛みを伴い、発熱などの全身症状が現れることもあります。最重症例では、皮膚が象の皮膚のように硬く厚く変化する「象皮病(ぞうひびょう)」と呼ばれる状態に至ることもあります。このように、リンパ浮腫は進行性の病気です。初期のわずかなサインを見逃さず、リンパ浮腫の専門知識を持つ医師やリンパ浮腫療法士に早期に相談し、適切な指導とケアを受けることが、症状の悪化を防ぐために何よりも大切です。