「ストレスが溜まると熱が出る」「原因不明の微熱が続く」…。自律神経失調症の症状の一つとして、発熱が現れることがあります。時には、38度程度の比較的高い熱が出ることもあり、風邪や他の感染症と見分けがつかず不安になる方もいるでしょう。では、なぜ自律神経の乱れが発熱を引き起こすのでしょうか。そのメカニズムを理解しておきましょう。自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体温、呼吸、血圧、消化、代謝といった生命維持に必要な機能を自動的にコントロールしている神経系です。この自律神経には、活動モードの時に働く「交感神経」と、リラックスモードの時に働く「副交感神経」があり、これらがバランスを取りながら体の機能を調節しています。しかし、精神的なストレスや不規則な生活、ホルモンバランスの乱れなどによって、この自律神経のバランスが崩れると、様々な身体的・精神的な不調が現れます。これが自律神経失調症です。発熱との関連については、主に以下の二つのメカニズムが考えられています。一つは、体温調節中枢の機能異常です。自律神経は、脳の視床下部にある体温調節中枢と密接に関連しており、体温を一定に保つ働きを担っています。自律神経のバランスが乱れると、この体温調節中枢の働きも不安定になり、適切に体温をコントロールできなくなることがあります。その結果、体が熱を産生しすぎたり、熱をうまく放散できなかったりして、発熱が生じると考えられています。これを「心因性発熱」または「機能性高体温症」と呼ぶこともあります。もう一つは、免疫機能の低下や炎症反応の亢進です。慢性的なストレスや自律神経の乱れは、免疫システムにも影響を与え、体の抵抗力を弱めたり、逆に炎症反応を過敏にしたりすることがあります。これにより、普段なら問題にならないようなわずかな刺激や、体内に潜伏していたウイルスなどが原因で、微熱から38度程度の発熱が続くことがあると考えられています。ただし、発熱の原因は多岐にわたるため、自己判断は禁物です。
自律神経失調症で38度の発熱?そのメカニズム