ストレスや疲労が重なり、38度程度の熱が出ると、「これは自律神経失調症によるものなのか、それとも風邪やインフルエンザといった感染症なのか」と見分けるのが難しいことがあります。どちらの原因であっても、適切な対処をするためには、いくつかのポイントに注目してみましょう。まず、発熱以外の随伴症状です。感染症の場合、発熱とともに、喉の痛み、咳、鼻水、くしゃみといった呼吸器症状や、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状が比較的はっきりと現れることが多いです。また、嘔吐や下痢といった消化器症状を伴うこともあります。一方、自律神経失調症による発熱(心因性発熱)の場合は、このような典型的な感染症の症状があまり見られないか、あっても軽微であることが多いと言われています。むしろ、動悸、息切れ、めまい、不眠、不安感、気分の落ち込み、食欲不振、肩こり、手足の冷えといった、自律神経失調症特有の多彩な心身の不調を伴うことが多いのが特徴です。次に、発熱のパターンや持続期間です。感染症による発熱は、通常、数日から一週間程度で解熱傾向が見られます。一方、自律神経失調症による発熱は、微熱がだらだらと数週間から数ヶ月続くこともあれば、ストレス状況に応じて体温が変動したり、夕方になると熱が上がりやすいといった特徴が見られることもあります。また、一般的な解熱剤があまり効かないことが多いのも、心因性発熱の一つの特徴とされています。さらに、血液検査の結果も参考になります。感染症の場合は、白血球数やCRP(炎症反応の指標)といった炎症マーカーが上昇することが多いですが、心因性発熱の場合は、これらの検査値に異常が見られないことが一般的です。ただし、これらの違いはあくまで一般的な傾向であり、自己判断は非常に危険です。特に、高熱が続く場合や、呼吸困難、意識障害といった重篤な症状がある場合は、他の重大な疾患の可能性も否定できません。必ず医療機関を受診し、医師の診察と検査を受け、正確な診断を得るようにしましょう。