腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、機能がかなり低下するまで自覚症状が現れにくいという特徴があります。しかし、注意深く自分の体の変化を観察することで、腎臓の不調のサインに気づくことができるかもしれません。早期発見・早期治療のためにも、日頃からセルフチェックを行い、受診すべきサインを見逃さないようにしましょう。まず、尿の変化に注目しましょう。「尿の泡立ちがなかなか消えない」場合は、タンパク尿が出ている可能性があります。「尿の色が濃い(コーラ色や赤ワイン色など)」場合は、血尿のサインかもしれません。「夜間に何度もトイレに起きるようになった(夜間頻尿)」、「尿の量が極端に増えた、あるいは減った」といった変化も、腎機能低下の兆候であることがあります。次に、むくみ(浮腫)です。特に、「顔やまぶた、手足がむくむ」、「夕方になると靴がきつくなる」、「指輪が抜けにくい」といった症状は、体内に余分な水分が溜まっているサインで、腎臓の水分調節機能が低下している可能性があります。体重が急に増えた場合も、むくみが原因かもしれません。また、「体がだるい、疲れやすい」といった全身倦怠感も、腎機能低下によって老廃物が体内に蓄積したり、貧血が進行したりすることで現れることがあります。その他、「食欲不振、吐き気」、「皮膚のかゆみ」、「息切れ、動悸」、「血圧の上昇」なども、腎臓の病気に関連する症状として現れることがあります。これらのサインは、必ずしも腎臓病特有のものではなく、他の病気でも見られることがありますが、複数の症状が当てはまる場合や、症状が続く場合は、腎臓の不調を疑い、医療機関を受診することを検討しましょう。特に、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病をお持ちの方、家族に腎臓病の人がいる方、過去に腎臓病を指摘されたことがある方は、定期的な健康診断(尿検査や血液検査での腎機能チェック)を受けるとともに、これらのセルフチェックを意識して行うことが大切です。気になる症状があれば、自己判断せずに、まずは内科やかかりつけ医、あるいは腎臓内科に相談しましょう。