食中毒が疑われる際、病院の診療科の案内板には「内科」「消化器内科」「胃腸科」といった、似ているようで少し違う名前が並んでいることがあります。これらの科は、食中毒の診療において、それぞれどのような役割を担い、どのような違いがあるのでしょうか。その特徴を理解しておくと、より自分の症状に合った医療機関を選ぶ助けになります。まず、「内科」は、体の内部(内臓)の病気を幅広く扱う、最も基本的な診療科です。高血圧や糖尿病といった生活習慣病から、風邪やインフルエンザといった感染症まで、非常に守備範囲が広いのが特徴です。食中毒も、細菌やウイルスによる内科的な疾患であるため、一般的な内科クリニックで十分に対応が可能です。初期の診断を下し、整腸剤や吐き気止めといった対症療法を行い、脱水症状があれば点滴をするなど、食中毒のプライマリケア(初期診療)を担う中心的な役割を果たします。地域のかかりつけ医として、最初に相談するのに最も適した診療科と言えるでしょう。次に、「消化器内科」は、内科の中でも、特に「消化管(食道、胃、小腸、大腸)」と、それに連なる「肝臓、胆のう、膵臓」の病気を専門とする、よりスペシャリストな診療科です。食中毒は、まさにこの消化管で起こるトラブルであるため、消化器内科は食中毒診療のエキスパートです。原因菌を特定するための便培養検査や、症状が長引く場合の詳しい検査、あるいは他の消化器疾患(潰瘍性大腸炎など)との鑑別診断など、より専門的なアプローチが必要な場合に頼りになります。O-157(腸管出血性大腸菌)のような重篤な食中毒が疑われる場合や、症状がなかなか改善しない場合は、消化器内科の受診が推奨されます。「胃腸科」または「胃腸内科」は、消化器内科の中でも、特に胃と腸の病気に特化していることを標榜しているクリニックで使われる名称です。基本的な役割は消化器内科と同じで、食中毒の専門的な診療を行ってくれます。結論として、どの科を受診しても食中毒の初期対応は可能ですが、より専門的な検査や治療を望むなら「消化器内科」や「胃腸科」がベスト。まずは身近なかかりつけの「内科」に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう、という流れが最もスムーズで安心です。