爪周囲炎と診断された場合、その治療は、原因や症状の程度、進行具合によって異なります。基本的には、原因となっている病原体を抑え、炎症を鎮めることが目的となります。まず、細菌感染が原因である急性爪周囲炎の場合、治療の基本は抗菌薬(抗生物質)の使用です。症状が軽度であれば、抗菌薬の塗り薬(外用薬)が処方されます。患部を清潔にした後、医師の指示通りに塗布します。炎症や痛みが強い場合や、症状が広範囲に及んでいる場合には、抗菌薬の飲み薬(内服薬)も併用されることがあります。処方された抗菌薬は、症状が改善しても自己判断で中断せず、必ず指示された期間、最後まで飲み切ることが重要です。途中でやめてしまうと、再発したり、耐性菌を生み出したりする原因となります。痛みや腫れに対しては、消炎鎮痛薬(NSAIDsなど)の内服薬や外用薬が用いられることもあります。もし、患部に膿が溜まっている場合(膿瘍形成)は、塗り薬や飲み薬だけでは十分な効果が得られないことがあります。このような場合は、局所麻酔をした上で、皮膚を小さく切開して膿を排出する「排膿処置」が行われます。膿を出すことで、圧力が下がり、痛みが軽減され、治癒も早まります。カンジダなどの真菌が原因である爪囲炎の場合は、抗真菌薬の塗り薬が用いられます。ヘルペスウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬の内服や外用が検討されます。陥入爪や巻き爪が原因で爪周囲炎を繰り返している場合は、爪の食い込んでいる部分を部分的に切除したり、ワイヤーやプレートを用いた矯正治療を行ったり、あるいはフェノール法などの手術的な治療が必要となることもあります。これらの治療法は、皮膚科や整形外科の医師が、個々の症状や状態を総合的に判断して選択します。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりせず、早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。