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深部静脈血栓症のサイン?片足の太ももの痛みと腫れ
発熱とともに、片方の太ももだけが急に腫れて痛む、皮膚が赤みを帯びて熱感がある…。このような症状が現れた場合、それは「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」、いわゆる「エコノミークラス症候群」のサインかもしれません。深部静脈血栓症は、足の深い部分にある静脈に血栓(血の塊)ができる病気で、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と治療が重要です。深部静脈血栓症の主な原因は、長時間の同じ姿勢(例えば、飛行機や車での長距離移動、デスクワーク、寝たきりなど)や、脱水、手術後、妊娠・出産、経口避妊薬の服用、肥満、喫煙、悪性腫瘍、血液凝固異常などが挙げられます。これらの要因によって、足の血流が悪くなったり、血液が固まりやすくなったりすることで、血栓が形成されやすくなります。症状としては、血栓ができた側の足(ふくらはぎや太もも)の急な腫れ、痛み(特に圧迫したり、足首を動かしたりすると強くなる)、皮膚の赤みや変色、熱感などが典型的です。発熱(通常は微熱程度)を伴うこともあります。しかし、症状が軽微であったり、全く自覚症状がない場合もあるため注意が必要です。深部静脈血栓症で最も危険なのは、できた血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管を詰まらせてしまう「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」です。肺塞栓症は、突然の呼吸困難や胸痛、失神などを引き起こし、命に関わることもある非常に危険な状態です。もし、片足の太ももやふくらはぎに急な腫れや痛み、赤み、熱感といった症状が現れたら、深部静脈血栓症の可能性を考え、速やかに医療機関(循環器内科や血管外科など)を受診する必要があります。診断は、超音波(ドップラーエコー)検査や血液検査(Dダイマー測定など)、CT検査などで行われます。治療としては、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)の投与が中心となります。早期に適切な治療を開始することで、血栓の増大や肺塞栓症の発症を防ぐことができます。