子供の舌が赤く、表面がブツブツしているのを発見した際、それが病的な「イチゴ舌」なのか、あるいは一時的な口内炎や舌の荒れなのか、親御さんとしては判断に迷うことでしょう。家庭である程度見分けるためのポイントを理解し、適切なタイミングで医療機関を受診するための目安を持つことは非常に大切です。まず、イチゴ舌の最も特徴的な所見は、その名の通り、舌の表面が赤く、舌乳頭という小さな突起が一つ一つ炎症を起こして腫れ上がり、まるでイチゴの表面のようにブツブツと目立って見える点です。初期の段階では、舌全体に白い苔のようなものが付着し、その白い苔の間から赤いブツブツが透けて見える「白いイチゴ舌」として観察されることもあります。その後、時間経過とともに白い苔が剥がれ落ち、舌全体が鮮やかな赤色を呈し、ブツブツ感がより際立つ「赤いイチゴ舌」へと変化していくのが典型的なパターンです。この見た目の変化を注意深く観察することが第一歩です。次に重要なのは、イチゴ舌以外の症状の有無を確認することです。イチゴ舌は単独で現れることは少なく、多くの場合、他の全身症状を伴います。具体的には、38℃以上の高熱、強い喉の痛み(食事や水分を飲み込むのを嫌がる、よだれが増えるなど)、体や手足に広がる細かい発疹(触るとザラザラする猩紅熱様発疹など)、両眼の結膜の充血(目やには伴わないことが多い)、唇の赤み・乾燥・ひび割れ、手足の指先や甲の腫れ、首のリンパ節の腫れと痛みなどが挙げられます。これらの症状がイチゴ舌と同時に、あるいは前後して複数見られる場合は、溶連菌感染症や川崎病といった特定の疾患の可能性が高まります。また、子供の全身状態も重要な判断材料です。普段よりも機嫌が悪い、ぐったりしていて元気がない、食欲が著しく低下しているといった変化が見られる場合は、注意が必要です。ただし、これらの観察ポイントはあくまで家庭での目安であり、イチゴ舌の見た目や随伴症状だけで病名を確定診断することはできません。特に川崎病は合併症のリスクがあるため、早期発見が何よりも重要です。イチゴ舌に気づき、上記のような他の症状を一つでも伴う場合、あるいは子供の全身状態が普段と明らかに違うと感じた場合は、自己判断せずに速やかに小児科を受診してください。医師は専門的な知識と経験に基づき、必要な検査を行って正確な診断を下し、適切な治療へと繋げてくれます。