糖尿病の発症には、遺伝的要因や食生活、運動不足といった身体的な要因だけでなく、精神的なストレスも深く関わっていることが指摘されています。甘いものを好む人が、ストレスを上手に管理できているかどうかは、糖尿病になりやすいかどうかの分かれ道の一つとなるかもしれません。では、ストレスはどのように糖尿病の発症に関与するのでしょうか。まず、強いストレスや慢性的なストレスは、血糖値を上昇させるホルモン(例えば、コルチゾールやアドレナリン、グルカゴンなど)の分泌を促します。これらのホルモンは、インスリンの働きを妨げたり、肝臓からのブドウ糖の放出を促進したりすることで、血糖値を上げやすくします。また、ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にします。交感神経が活発になると、インスリンの分泌が抑制されたり、インスリン抵抗性が増大したりする可能性があります。さらに、ストレスは生活習慣の乱れを引き起こしやすいという側面もあります。ストレスを感じると、つい甘いものや脂っこいもの、アルコールなどを過剰に摂取してしまったり(ストレス食い)、運動する気力がなくなったり、睡眠不足になったりすることがあります。これらの不健康な行動は、肥満やインスリン抵抗性を助長し、糖尿病のリスクを高めます。逆に、日頃からストレスを上手にコントロールできている人は、これらの負の連鎖を断ち切りやすいと言えます。自分なりのストレス解消法(例えば、趣味に没頭する、友人と話す、音楽を聴く、自然の中で過ごすなど)を持っていたり、十分な睡眠と休息を確保していたり、リラクセーション法(深呼吸や瞑想、ヨガなど)を実践していたりする人は、ストレスによる血糖値への悪影響を軽減できる可能性があります。また、精神的に安定していると、健康的な食生活や運動習慣を維持しやすく、結果として糖尿病になりにくい体質を保つことができるでしょう。甘いものが好きでも、心身の健康を保ち、ストレスと上手に付き合っていくことが、糖尿病予防には不可欠なのです。