健康診断などで「腎機能が低下しています」「精密検査を受けてください」と指摘された場合、具体的にどのような検査が行われるのでしょうか。腎機能低下のサインを見逃さず、早期に原因を特定し、適切な対応をとるためには、精密検査の内容を理解しておくことが大切です。腎機能の精密検査は、主に腎臓内科で行われます。まず、基本となるのが、より詳細な血液検査と尿検査です。血液検査では、健康診断でも測定されるクレアチニン(Cr)や尿素窒素(BUN)といった老廃物の濃度に加え、eGFR(推算糸球体ろ過量:腎臓がどれだけ効率よく血液をろ過できているかの指標)を再評価します。また、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)のバランス、貧血の有無(ヘモグロビン値)、血糖値やHbA1c(糖尿病の指標)、コレステロールや中性脂肪(脂質異常症の指標)、尿酸値(痛風の指標)なども調べ、腎機能低下の原因となる可能性のある全身疾患の有無や、合併症の状態を評価します。尿検査では、タンパク尿や血尿の有無と程度を詳しく調べます。尿中のタンパク質や赤血球の量、形状などを顕微鏡で観察したり、一日の尿タンパク排泄量を測定したりすることもあります。これらの検査は、糸球体腎炎やネフローゼ症候群などの診断に重要です。次に、重要な画像検査として、腹部超音波(エコー)検査があります。超音波を使って、腎臓の大きさや形、内部構造(嚢胞や結石、腫瘍の有無など)、腎臓への血流の状態などを観察します。比較的簡便に行え、多くの情報が得られるため、初期の精密検査として広く用いられます。腹部超音波検査で異常が疑われた場合や、より詳しい情報が必要な場合には、CT検査やMRI検査といった高度な画像検査が行われます。これらの検査では、腎臓を輪切りにしたような詳細な画像が得られ、小さな腫瘍の発見や、腎臓の血管の状態、尿路の閉塞の有無などを評価するのに役立ちます。造影剤を使用することで、さらに鮮明な画像を得ることもあります。そして、これらの検査でも診断が確定しない場合や、腎臓の組織の状態を直接調べる必要がある場合には、「腎生検(じんせいけん)」が行われることがあります。これは、局所麻酔をした上で、背中から細い針を腎臓に刺し、ごく少量の腎臓組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。入院が必要となることが一般的です。
腎機能低下のサイン?精密検査の内容とは